おはなしコマーシャル

おはなしにコマーシャルをくっつけたら、もっと素敵になりました

コースター

時刻はもうすぐ十三時。約束の時間まであと少し。 今日も朝から朝ごはんの準備をし、それを夫娘息子に食べさせさっさと家から吐き出していく。それから洗い終わった洗濯物を干していく。 ここまでは日課のルーチン。いつもならここで急いでパート先へ向かう…

椅子

私が子供の頃はね、まだパソコンなんてものは全然普及してなかったんだ。だから、私にとって娯楽とは本だった。 家の部屋にある自分の椅子、いつでもそこが私の娯楽場だった。買ってきた、借りてきた本をその椅子の上で寝る間も惜しんで読み続ける、それがと…

今日は別れの日。もう何年の付き合いになっただろうか、数えようと思うとそこそこの年数になるんじゃないかな。 出会ったのは子供の頃で、まだ僕が小学生だった頃。初めて会ったとき僕にはキミがとても輝いているように見えた。本当だよ。 そこからは毎日キ…

ボードゲーム

「ここで……どうだい!」 「はいはい、ここに置くよ~」 「ぅぐっ!」 昼下がりの休日に私は絶体絶命のピンチを堪えていた。私を追い詰めているのは大学時代の友人だ。今は私の敗北の一歩手前に追い込んでいるのだけれどもね。 今日は久しぶりに社会人になっ…

伝わる話

暖かみのある人間になりたい。そう思ったのは十年前のあのときから。 昔、僕は泣いてばかりだった。理由はごくありふれたもので転んで怪我したとか、公園の遊具の取り合いとかそんなの。 でも、そんな僕の隣にはよく一緒に居てくれる子がいた。その子はとて…

炊飯器

結局のところ、食べている姿が好きなのだ―― 朝というには少し早い時間、目覚ましによって夢から覚醒する。眠気の誘惑に惑わされながら服を着替える。大体着替え終えた頃には眠気はほとんど無くなっているがダメ押しとばかりに顔を洗う、これで戦闘準備は完了…

ハンカチーフ

おお、孫や。これをあげよう。これはお前の十三歳への誕生日プレゼントだ。……そう気落ちした顔をするんじゃない。まぁ 当の品がハンカチじゃ仕方もないか。 これはな、贈り物であって儂からの細やか頼みでもある。どういうことかって? 少しは儂の話を聞いて…

鼻腔拡張テープ

あー!気になる気になる気になる! どーしても鼻の詰まりが気になるの! 気にならないときは全く大丈夫なのに今は無性に意識してしまう! これは身体の機能としてどうしようもないことだと分かっていても、だ。ティッシュで鼻をかんでも、片方の鼻を摘まんで…

手帳

23:59 一日の終わり。そして明日の始まり。 机の上に開いて置いた手帳の今日の予定だったページ、そこに対角線に×印を書き入れる。それがここしばらくやっている習慣。 人の一生なんてもの、まだ青臭い私には遥か遠くの対岸が見えない橋のようなモノにしか…

バイクヘルメット

夜も深まった時間の最中、静まりきった道路をバイクで駆けていく音とエンジンの振動が身体に伝わってくる。 最近、仕事で嫌なことがあったときはいつもコレだ。休みの前日に夜中の公道をただ乗ることが俺のストレス発散手段であった。 夜中の道路は良い。昼…

マイク

『みなさんどうもどうもー。初めての人はお初です。〇〇と申します。さ、今日の分を始めるよ。』 今回ので僕が動画をアップロードし始めて四回目。まだまだひよっこだ。再生回数なんて両手で数えられるほどだしね。 今投稿しているモノはゲームとかの実況モ…

スーツケース

スーツケースを牽いて歩いていく人達がちらほらと目に入る。いったいどこから来たのだろうか。そんなことを思う。 私の住んでるところは観光地と呼ばれる地域にほど近くで人の密度がとても高い。友達からは羨ましがられるけど人が多すぎてかなり面倒だと私は…

ジャム

『子ども達へ……寝坊しちゃったからご飯は適当に食べて行ってね!by母』 朝、朝食を求めてキッチンへ向かったらこんな書置きが残してあった。そして、そのままテーブルの方へ目を向ける。 「おーっす、弟。今日は起きるのが遅かったじゃないか」 兄貴が既に朝…

エチケットカッター

ただ話すことに集中できる。これだけの事がすごく幸せに感じる。 今までは違った。私は常に何かに怯えていた。不安になっていた。誰かと話していても真っ直ぐに目を見ることは出来なかったし、笑い方もどこか変だったかもしれない。 きっと私は視線を怖がっ…

電気チリトリ

私はね、うるさいことが嫌いだ。 ああ、歌とかカラオケとは度が過ぎなければ好きだよ。私が嫌ってるのは騒音だとか、ノイズとかの方だ。 なぜなら、それらとても耳障りだからだ。私は静かに寛ぐことが好きなのにそれらはその空間を悉く壊してしまう。 家電と…

スーパーフルーツC スパークリング

「ただいまー。……兄貴、今度のそれはなに?」 バイト終わりでくたくたな状態で家に帰ってみたらリビングで兄貴が静かに佇んでいた。パンイチで。何で? 「おう、おかえり。なにって……どう見ても優雅な風呂上がりの一杯だろう?」 絶対違うと思う。万一、そう…

コーヒーゼリー

子どものころはとにかく甘いモノが大好きだった。 家におやつがあれば一日の制限の中で食べてたし、時には小銭を握りしめて駄菓子屋へ向かったりもした。この頃は食べることと遊ぶことが正義だった。 中学生くらいになってからそれは少しづつ変化し始めた。 …

扇子

連日のように茹だるような暑さが続く夏の夜。僕は待ち合わせ場所に指定してあるとある公園の前で立ちつくしていた。……暑い。 昼に縁日のお祭りに参加する約束をして、この公園前で集合と決めてきたのは彼女の方からだった。約束の時間にはまだ少しあるのでこ…

目覚ましテーブルライト

教室の出席パネルに出席登録を済ましてからいつもの後ろ側の席へ向かう。そこの隣にはいつもの友人がスマホに目を向けながら座っていた。 「……よーっす、トーヤ」 少し眠さから億劫な感じになった。声を掛けるとトーヤはすぐこっちに向いていつものにんまり…

スマートノート

書く。書く。書く。 時に綺麗に描くために素早く丁寧に。時に重さを表現するために遅く荒々しく。そして、時々間違えたところを修正しながら。私は高校の教室で黙々とスケッチを続けていく。 ……うん、出来た。今回のはこの教室から見える校庭にある一本の木…

バランスボール

時に健康補助アイテム。時に遊び道具。そして、時に椅子。 それが現在、我が家で自分のお尻の下に惹かれている「それ」の立ち位置であった。 やってきた……というか買ってきたのは半年前ほど。元々は本来の使用用途である 筋トレのためだった。のだが、三カ月…

ツールカード

「なぁトーヤ、ちょっといいか?」 「なんだいダイスケ君や」 講義と講義の合間の休み時間。そこで頼み事をするべく俺は親しいと友人と言えるだろうダイスケを訪ねていた。 「ちょっーと聞きたいことがあるんだけど」 「レポートの写しは無しだよ?はい、さ…

ステンレスフッククリップ

ふー、あとはこの段ボールを仕分ければ一段落かな。 一人暮らしを決意して早半年。ようやく引っ越先が決まってつい先日、ここへ引っ越して来たばかりだ。今日一日は荷物の仕分けに追われていたけど、それももう日が落ちたけど終わりが見えている。 ん、スマ…

電子辞書

字を書く、ということは現代の社会では至極ありふれたものだ。大体の子供なら幼稚園に入るころには何かしらの文字は覚えているし、それを綺麗な形じゃなくても書くことが出来るだろう。 つまり、語彙の差はあれどもおおよその人は文字が書けるものであり、そ…

フローリングワイパー

重たい、と感じること。それは軽くしたい、という願望が心のどこかに潜んでいるのではないだろうか。 人は何時だって軽くすることに苦心している。整備のため、使用のためと様々な事柄に結び付けて人のために軽量化をしていく。重たいことが良いというものは…

トイレスタンプ

「なぁトーヤ、ちょっと聞きづらいことなんだけどいいか?」 「ん?なんだいダイスケ君や」 朝一の講義前、隣席を陣取っている友人であるトーヤに聞きたいことがあった。 「あんまり声張って話す内容じゃないんだけど、家のトイレの掃除ってどうしてる?長時…

充電池

僕は思うんだ。電池って便利だけど面倒くさい。 様々な機械を動かすのに必要だけれど、基本使い捨てだ。値段はピンからキリまであるし買いだめもしやすい。そういった面では中々良いモノで便利だ。 けど、使い終わった後が大変だ。地域によって出し方が違う…

マグカップ

電気ケトルの中の保温してあるお湯をマグカップへと注いでいく。 マグカップの中のインスタントコーヒーとクリープとが溶けて混ざり、独特の香りが鼻に届いた。そして夜の星空がプリントされていたそれはそのコーヒーの完成と共に姿を変える。この温度によっ…

マグカップツリー

やぁやぁ。いらっしゃい。よく一人で来れたね、今日一日はここが自分の家だと思ってくれていいからね。 ここまで歩いてのどが渇いたろう?今準備するから待ってておくれ。……ん、このこれは何かって?これはマグカップツリーと言ってね、色々なモノをかけてい…

スツール

「おーい、これ何処に置けばいいんだ?」 「ああ、それな。お前の近くに椅子があるだろ?そこん中入れておいてくれ」 「椅子の中?これに入るのか?」 「『アイリスオーヤマ スツール 収納スツール Mサイズ SST-38』っていう収納出来るスツールだよ。だから…