おはなしコマーシャル

おはなしにコマーシャルをくっつけたら、もっと素敵になりました

往きたいところ

 どこか、遠くへ行ってみたい。

 僕がそう思ったのはつい最近の事だ。別に嫌なことあった、とか忘れたいことあるっていうわけではなく、ただそう思ったのだ。

 その日の昼休みに計画を立てて、放課後には学校の近くで小さな展望台のある公園へと足を運んでいた。疲れた。景観はまあ良い、普段見る風景とは違って街を一望できるというのはあまりない経験には違いない。しかし心は満たされない。

 次の休日には倉庫で長期休暇を楽しんでいた自転車を持ち出してかなり遠くまで行ってみた。……予定の三分の一に届く前に脚が痛くて動けなくなった。何かを感じるという以前の問題だ。僕には体力が無い。

 そもそも、外に出なくても今の世の中は外を見て回れるではないか。筋肉痛が身体を刺激する中、さっそく自室のパソコンにあるグーグルアースを起動する。……色々なものが見れた。すぐには行けないようなところでもマウスを弄るだけで良いのだから。直で見てみたいものだ。うん、これはなんか違う。

 ――その後も他の色々なことを試してみた。しかし、そのどれもは僕の心を満たせずにいる。そして筋肉痛がピークだ。キツイ。湿布を買い求めにドラッグストアへと足を運ぶことになる。

 そこでふと目に入ったのが「アース製薬 露湯天めぐり」だった。これなら外へ行かなくても良いし、ネットより実感がある。あと筋肉痛に効きそうだ。今度こそ、遠くへ行ける気がした。

 

アース製薬 露天湯めぐり」

 新鮮さは日常を少し変えるだけで現れる。