昔あるとき
「ねぇ、おねぇちゃん。おとなになるっていうのはどういうことなの?」
おねえちゃんはぼくより8つおねえちゃんでちゅうがくせいなのだ。ぼくよりいろんなことをしっていてすごいんだ。
「え……?フッ、そんなこと簡単よ。身体機能が向上して様々なことが出来るようになるわ」
おねえちゃんはさいきんてれびのおねえさんのまねをよくするようになった。ぼくもする、かっこいいもん。パパとママはてをあたまにあててるけどあれもてれびのまねなのかな。
「しんたいきのう?さまざま?それってどういういみなの?」
「わ、分からないよね……。おほん、えっと身体が大きくなって色んなことをもっと出来るってことよ!」
ぼくにもわかりやすいことばでおしえてくれるおねえちゃんはすきだ。それにきびきびとしたうごきでてやあしをうごかしてる。せんたいひーろーみたいだ、すごいかっこいい。
「そうなのか!ぼくもおねちゃんぐらいおおきくなったらおねえちゃんみたいになる!かっこいいもん。」
「え、かっこいい?ほんと?」
「うん!」
おねえちゃんはすごいうれしそうなかおをしてくれた。
――思えば十年前のあの会話が分岐点だったんじゃないだろうか。あのとき、あんな会話をしなければ、姉の真似をして黒歴史ノートを作ったりポーズや設定をこだわらなかったのではないかと今でも思うことがある。
思い出して姉に話すと顔を真っ赤にして俺の記憶はそこで止まるのだ。
「コクヨ Campus」シリーズ
それはある意味、自分の歴史。