おはなしコマーシャル

おはなしにコマーシャルをくっつけたら、もっと素敵になりました

コーヒーゼリー

 子どものころはとにかく甘いモノが大好きだった。

 家におやつがあれば一日の制限の中で食べてたし、時には小銭を握りしめて駄菓子屋へ向かったりもした。この頃は食べることと遊ぶことが正義だった。

 中学生くらいになってからそれは少しづつ変化し始めた。

 コーヒーなんて苦いモノを(砂糖・ミルク込みで)飲み始めたり、甘さ一辺倒なモノは段々苦しくもなって来ていた。これもまた成長という事なのだろうか。

 二十歳になるころにはその傾向はさらに強くなっていった。

 ブラックは普通に飲めるようになっていたし好むようになった。甘いものはシンプルな甘さに惹かれることが多くなり、濃いものはたまにしか食べなくなった。甘いモノよりも苦いモノを日常的に摂取するようになって子どものころはとは大分様変わりしてしまった。

 そして今。

 コーヒーゼリーというモノに出会った。甘いモノと苦いモノの間を彷徨っていた私にとってそれは画期的であった。苦味の中に甘味がある、その組み合わせは衝撃だった。苦いだけじゃない、甘いだけでもない。その両方を堪能するというのは私の中で味覚だけでなく、ある種の人生観にまで昇華された。

 今日もまた、冷蔵庫からコーヒーゼリーを取り出す。

 

安曇野食品工房 SWEET CAFÉ 珈琲ゼリー」

 清濁併せ呑む。ならずに、甘苦合わせ食す。