おはなしコマーシャル

おはなしにコマーシャルをくっつけたら、もっと素敵になりました

伝わる話

 暖かみのある人間になりたい。そう思ったのは十年前のあのときから。

 昔、僕は泣いてばかりだった。理由はごくありふれたもので転んで怪我したとか、公園の遊具の取り合いとかそんなの。

 でも、そんな僕の隣にはよく一緒に居てくれる子がいた。その子はとても勇気があって優しくて、そして暖かみを持っていた。

 その子は泣いている僕によくこう言ってくれた。『痛がって泣くんじゃない! 男が泣くのは悔しいときか嬉しいときだけだ!』と。叱咤するような言葉とは裏腹に泣いてた僕を見る表情はすごく心配そうで、何より僕を助けてくれようとする気持ちがあった。

 そんなやり取りをいくつもやっている内に僕の中で何かが震えて弾けるような気持になったんだ。僕もその子のようになりたい、この溢れる気持ちを他の子に伝えられるようになりたいって。

 そう思ってからは僕はあまり泣かなくなった。いや、泣かないように踏ん張った。その子からただ手を差し伸べられるだけじゃなくなるために。

 ――それがこの気持ちの始まり。今でもはっきり思い出せる。僕の始まり。

 それを時々交友のある隣人に熱く語ることがある。彼女は辟易としながらも最後まで聞いてくれる。そして彼女は最後にいつもこう返してくる。

 「そんな絵に描いたような聖人君子いるわけないでしょ……けど、その気持ちを持ち続けていることはきっと良いことだと思うよ。ていうか聞かされてるこっちが恥ずかしくなるような話だわ……」

 

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 暖かさは、伝えることが出来る。