甘いモノ
その日、私はとても疲れていた。色々なことがあり過ぎてもう思い出せないくらい。それを感じたのはお昼ご飯のときかもしれないし、帰りの電車の中で立っていたときかもしれない。疲れている、けどそれ以上に頭は甘いモノを欲しがっていることを私に伝えきていた。
部屋に着いてすぐに向かうはキッチンだ。こんなときのために常にお菓子を置いておくコーナーがある。そこ手を突っ込み適当に漁り始める。目で確認せずに選ぶのは何だかガチャガチャをしているようで、少しだけ楽しく感じる。
今日選ばれたのは「明治 ミルクチョコレート」だった。即座に封を破って口へ放り込む。
甘い。そして甘い。ああ、幸せだ。
頭からの命令を達成した私は少しの幸福感に包まれながら、部屋の電気を点けた。
「明治 ミルクチョコレート」
舌で感じる口どけの良さはきっと、他のモノでは味わえない。