パーティー
時間を忘れてしまいたい。そしたらずっとこの時間を楽しめるだろうに。
そう思ったのはもう終盤に近づいたときだった。今日は友達と私の家でたこパを開くことになっていた。それは特に変更やドタキャンも無く、つつがなく始まりを迎えたののだった。
それまでの私は一抹の寂しさを感じていた。所謂ホームシックだろうか、とかくその感傷を紛らわせるために色々なものを買っていた時期があった。このたこ焼き器もその一つだ。最初は浮かれ気分で一人たこ焼き祭りをしていたけどすぐに飽きてしまって、それから押入れに仕舞ってたやつ。そのことを友達に話したら他にも人を呼んでたこ焼きパを急遽開くことになっていた。
……一人暮らしを始めてからこんなに人を家に入れたのは初めてかもしれない。騒がしく鳴り過ぎないように注意したりはしてる。けど、囲んでたこ焼きを作ってるだけで子供が秘密基地に集まって会議をしているかのような、そんな懐かしい気持ちを思わせる。
時間を忘れてしまいたい。けど、もう終わりだ。
それぞれ帰っていく友達を見送るたびに言いたくなる。けどなんだか恥ずかしくて心の中で呟くだけにする。
また、やろう。
「アイリスオーヤマ ITY-18A-R たこ焼きプレート」
それは豪華絢爛なパーティーじゃないかもしれない。けど、この穏やかな時間が欲しくなる。