おはなしコマーシャル

おはなしにコマーシャルをくっつけたら、もっと素敵になりました

パーティー

時間を忘れてしまいたい。そしたらずっとこの時間を楽しめるだろうに。 そう思ったのはもう終盤に近づいたときだった。今日は友達と私の家でたこパを開くことになっていた。それは特に変更やドタキャンも無く、つつがなく始まりを迎えたののだった。 それま…

朝の時間

朝、狭い部屋の中で反響して鳴り響く目覚まし時計のアラームで目を覚ました。時間は予定より二十分遅れ、どうしてこんなに五月蠅いのに起きなかったのか。私でもさっぱりである。 急いで布団から飛び出して朝ごはんの支度しなくては。朝は家で食べたい派なの…

誰かの一幕

おかえり。今日も一日お疲れさま。仕事の方はどうだった?なになに、一日中書類仕事ばっかりで大変だった?首とか肩がすごい辛そうだね……よし、マッサージしよう!少しでも疲れを取ろう。はいはいそこの椅子に座ってくださーい。 首の付け根あたりから指でゆ…

再会

明日の21日、17時に駅前で。 たったそれだけの手紙が一人寂しくポストに入っていた。 彼女と最後に会ったのはお互いの高校を卒業したときのはず。LINEとかで連絡は取ってたんだけど、彼女は遠方の大学に通ってしまうこともあってなかなか会えなかった。 成…

癒し

はぁぁーー…… ため息が出てしまった。一日の終わりは心は軽くなるけど疲れがどっと押し寄せても来る。今の仕事になってからというもの、座ってPCを凝視し続けるもんだから目と肩と腰がガッタガタで仕方ない。 心の疲れは家族で癒せるけど体の疲れは癒えな…

好きだからこそ

私は思うのだ。溢れている、溢れ過ぎている。このご時世、日本の至る所にお菓子が存在している。もはや無いところが無いと言えるかもしれない。スーパーやコンビニでは一大勢力を築きあげ、老若男女の垣根を超えて親しまれてるだろう。 しかし、ありすぎて目…

夜道

大学生になってからというもの、夜遊びが楽しい。別に友達と騒いでるわけじゃない。真夜中に大きな道を散歩するのが楽しいのだ。昼間は行きかう車同士の喧騒で明るさに満ちた世界なのだが、深夜の静けさと寂寥感のギャップがとてもイイのだ。 そんな中を歩く…

昔あるとき

「ねぇ、おねぇちゃん。おとなになるっていうのはどういうことなの?」 おねえちゃんはぼくより8つおねえちゃんでちゅうがくせいなのだ。ぼくよりいろんなことをしっていてすごいんだ。 「え……?フッ、そんなこと簡単よ。身体機能が向上して様々なことが出…

昔と今

「これ買って!ぜったい買って!」 レジにぼけっと並んで待っている私にそん会話が耳に入ってくる。聞こえてきたのはまだ幼稚園くらいの女の子とその母親の会話のようだった。 どうやら女の子がお菓子を母親にねだっていてそれを咎められてるのだろう。母親…

この頃夢を見ることがある。 その夢の中の私はお手製の翼で空を飛ぶことを夢見て練習しているのだ。夢なのにね。夢の最後は毎回決まっていて、景色の良い山でその崖に向かって走り出す場面でいつも終わってしまう。ちゃんと飛べたかまでは分からない。 一説…

手紙

拝啓 梅雨の季節となりました。いかがお過ごしで……ってこれじゃ堅苦しい!続けてたら全部ですますで終わっちゃうよ!と、いうことだから以降はいつもの言葉で書いていくね。 そもそも、なんで21世紀にもなって手紙を書いているかというと……面白そうと思った…

往きたいところ

どこか、遠くへ行ってみたい。 僕がそう思ったのはつい最近の事だ。別に嫌なことあった、とか忘れたいことあるっていうわけではなく、ただそう思ったのだ。 その日の昼休みに計画を立てて、放課後には学校の近くで小さな展望台のある公園へと足を運んでいた…

話し相手

お、今日も来たな少年!またワシの話に付き合ってくれい!……おいおいどこに行くのかね?そんな苦虫を噛み潰したような顔をしてどうしたのだ。 なに?またワシのうさんくさい話に付き合わされるのは嫌だと?なぁに、そんなひどい話じゃないじゃろ。ワシが買っ…

そういうことじゃない

辛い、辛い。 声に出すのを我慢しても身体中から冷や汗が噴き出してくるし、ずっと痛覚を刺激してくる。人によってはこの感覚がダメで遠慮する人が多いみたいだけど、私は好きだ。大好きだ。決してマゾとか変態じゃない。いや、完全な否定なんてのものはでき…

物忘れ

孫や孫や、この頃物忘れが酷くてのう。わしの好きな食べ物が思い出せんのだわい。 確か甘くてな、風味が良いヤツじゃったと思うんじゃが……。ケーキ?いや違えのう、洋菓子のような新参者では無かった気がするのう……。 カステラ?それじゃ無いのう、もっと味…

記憶の欠片

夜勤明けの休日、俺は特に何をするわけでもなく部屋のソファでゴロゴロしていた。暇なのではない。休みが変則的なため、前もって予定が入れづらく予定は未定なだけなのだ。嘘だ。暇でしかない。 最近、こんな日には子どもの頃のことを思い出す。特に思い出す…

雨なんて大っ嫌いだ。特に晴れの天気予報が外れたときの雨なんてのは犯罪的ですらあると思うくらいに。 理由はいくらでもある。まず服が濡れる、それによって身体が冷たくなる、寒い。靴が浸水する、びちゃびちゃ。特にこれは足にとって壊滅的被害だ。風との…

今日はこの道にしよう。 僕は歩くことが好きだ。知らない道を見かけるとつい行きたくなってしまうのだ。道端にあるお地蔵さんやどこかへと続く階段、密やかだけども存在を主張する神社へと繋がる鳥居、知らなかったものを知ることが出来る高揚感。そのすべて…

楽しみ

ほら、どうしたの。もうすぐ君の番だよ。せっかく休みを合わせてプールに来たんだから楽しまないとね。ただ泳ぐだけじゃつまらないなんて言ってたじゃないか。だからここの飛び込み台のあるところにわざわざ来たんだよ。 え、やっぱり怖くなってきただって?…

甘いモノ

その日、私はとても疲れていた。色々なことがあり過ぎてもう思い出せないくらい。それを感じたのはお昼ご飯のときかもしれないし、帰りの電車の中で立っていたときかもしれない。疲れている、けどそれ以上に頭は甘いモノを欲しがっていることを私に伝えきて…

キミの始まり

ついに僕の情報端末にアシスタントAIを入れることに親が同意してくれた!学校でも持ってないのは周りだと僕だけだったからすごい嬉しい。人と会話出来るAIとみんな思い思いの話をしているみんなを見るのが羨ましくて堪らなかったんだ!さっそく、起動して挨…

走る

どれくらい走って来たのだろう。額の汗は止まらずに川の如く流れて行くし、身体中の芯も茹だったかのように熱くなって視界が少しぼやけてきている。 もう相当な距離を進んだように思うけど、まだ見えない。走り続けている心と身体に重い「何か」が圧し掛かる…